JISZ3211 軟鋼用被覆アーク溶接棒の種類ごとの特徴

  1. イルミナイト系(D4301)
    • 被覆材にイルミナイトを約30%程度含んだ溶接棒です。
    • スラグは比較的流動性がよく,全姿勢で良好な溶接ができます。
    • アークはやや強く,溶込みは深くなります。スラグかぶりが良好で除去も容易です。
    • ビードは波が細かく美しく性能のバランスがとれているので,あらゆる構造物の溶接に広く使用されています。

  2. ライムチタニア系(D4303)
    • 被覆剤に酸化チタンを約30%と石灰石などの塩基性物質を約20%程度含んだ溶接棒です。
    • アークはややおだやかで,溶込みはD4301より浅くなります。
    • 全姿勢で溶接可能ですが,とくに下向及び立向きのすみ肉溶接に適しています。
    • D4313同様酸化チタンを多量に含んでいますが,D4313と比較して機械的性質にすぐれています。

  3. 高セルロース系(D4311)
    • 被覆剤に有機物を20%以上含んだ溶接棒です。
    • 有機物が燃焼し,多量のガスを発生して溶着金属を保護するため,ガスシード型の溶接棒といわれています。
    • アークは強く,溶込みは深くなります。
    • スラグが少ないので,立向下進溶接及び上向溶接に適していますが,スパッタが多くビードの波は粗くなる傾向にあります

  4. 高酸化チタン系(D4313)
    • 被覆剤に酸化チタンを35%程度含んだ溶接棒です。
    • アークはおだやかでスパッタの少ない溶接棒です。
    • スラグ粘性が大きくかぶりも良好で、全姿勢で溶接でき,立向下進溶接のできるものもあります。
    • 溶込みが浅いので薄板の溶接に適しますが,軽構造物の溶接にも使用されています。

  5. 低水素系(D4316)
    • 被覆剤は石灰石などの塩基性炭酸塩を主成分とした溶接棒です。
    • 被覆剤中の水素源が少なく,また炭酸塩が分解して発生する炭酸ガスがアークをシールドするため,溶接割れに影響を及ぼすとされる水素量が少ないのが特徴です。
    • 機械的性質に優れ,厚い鋼材の溶接などに適しています。

  6. 鉄粉酸化チタン系(D4324)
    • D4313に多量の鉄粉を添加したもので,溶着速度がD4313より大きくなっています。
    • コンタクト溶接が可能で,アークはおだやかスパッタは少なく溶込みは浅くなります。
    • 溶着金属の機械的性質はD4313と同等ですが,溶接姿勢は下向と水平すみ肉に限られます。

  7. 鉄粉低水素系(D4326)
    • D4316に鉄粉を添加したもので,D4316と比較して溶着速度が大きくなります。
    • 溶着金属の機械的性質はD4316と同等で,溶接姿勢は下向と水平すみ肉に限られます。

  8. 鉄粉酸化鉄系(D4327)
    • 被覆剤は酸化鉄を主成分とし,これに鉄粉を添加した溶接棒です。
    • 下向及び水平すみ肉溶接が可能ですが,用途の多くは水平すみ肉溶接となっています。
    • 溶滴はスプレー移行でスパッタは少なく、溶込みはD4324より深くなります。
    • スラグは完全に溶着金属を覆い,剥離性も良好です。
    • ビード表面が滑らかで等脚長に近い平らなすみ肉形状が形成されます。

  9. 特殊系(D4340)
    • 溶接結果が特殊な要望にこたえられるよう,メーカーがそれぞれ特異な系統を市販しています。

 

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